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SAPについて個人的なメモをまとめたブログです

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SAPの在庫転送と在庫振替転記について

 

キーワード
SAP MM、在庫転送、振替転記
在庫転送と在庫振替転記とは?
SAPには在庫転送という言葉がありますが、在庫転送と言った場合、人それぞれに思い浮かべるイメージが異なっているかもしれないので、簡単にまとめてみようと思います。まず、在庫転送(Stock Transfer)と似たような概念に在庫の振替転記(Transfer Posting)があります。在庫転送とは、在庫をあるプラント(あるいは保管場所)から物理的に別のロケーションにあるプラントへ移動することを言います。一方で、在庫振替転記とは必ずしも物理的な移動を伴わない論理的な在庫の移動を意味します。具体的には下記の図で右図のような、品目振替(品目コード変更)、在庫ステータスの変更(品質検査在庫から利用可能在庫への変更など)、特殊在庫タイプの変更(預託在庫から利用可能在庫への変更など)などがあります。振替転記は以前はTr-Cd:MB1Bなども使用していましたが、最近のSAPではMIGOに統合しているため、基本的にMIGOでできると考えていいと思います。

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SAPでの在庫転送とは?
在庫転送についてですが、SAPで在庫転送を行うには、主に2つの方法があります。
・MIGOで入出庫伝票を転記する方法
・購買発注の在庫転送伝票を使用する方法

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 MIGOで行う方法は、ワンステップ在庫転送とツーステップ在庫転送があります。ワンステップの場合は移動タイプ301を指定して、一回の伝票転記で出庫と入庫を同時に転記します(1回のオペレーションで在庫は転送元から転送先のプラントへ移動される)。ツーステップの場合は移動タイプ303で転送元から出庫し、移動タイプ305で転送先へ入庫する流れとなります。移動タイプ305で入庫側を登録するまでは在庫ステータスは転送中在庫という扱いになっており、どちらのプラントにも属していないため、受注伝票や出荷指示伝票の利用可能在庫(引当可能在庫)の対象外とする事が可能です。
 次に、購買発注伝票の在庫転送を使用する方法ですが、購買発注と聞くと仕入先からの発注入庫を思い浮かべるかもしれませんが、在庫転送にも購買発注伝票を使用することができます。通常の購買発注タイプ「NB」ではなく、在庫転送用の購買発注タイプ「UB」を選びます。そうすることで、転送元の供給プラントや出庫保管場所を登録することができます。そして、この購買発注伝票に紐づく出荷伝票を作成し、それが供給プラントにとっての出荷指示となります。供給プラントから製品が出荷されると、出荷伝票に対して出庫確認を実施します。製品が入庫プラントに到着すると入庫処理を行います。
 単純に在庫を移動することだけを考えるとMIGOだけのオペレーションで実施する方法がシンプルで簡単に思えますが、実際の業務に合わせてどちらで行うかを決めていく必要があります。例えば、製造メーカーで工場プラントから営業倉庫プラントへモノを運ぶようなケースに置いては、営業倉庫側が工場に転送の依頼(在庫転送オーダー)をする必要がありますし、その在庫の移動は物流担当者へ移動指示(出荷指示伝票)を伝える必要があります。そのため、このようなケースでは購買発注伝票の在庫転送を使用すると思います。MIGOによる在庫転送は同じ拠点内の保管場所移動や実績ベースで在庫移動するような業務の際に使用することが考えられると思います。

    

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