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SAP受注伝票の価格決定(概要)

 

キーワード
SAP SD、販売価格、価格決定表
今回の記事では、SAP SDの価格決定機能について解説します。概要的な説明となり、SAPの価格決定ってこんな風に決まるものとイメージがつかめれば幸いです。

◆SAP SD価格決定に必要なもの
価格決定表:受注伝票に対して、価格決定表が割り当てられます。価格決定表は、目的ごとに別れており、複数の条件タイプが順番に定義されます。標準的なものだと標準価格、値引き、税などが含まれています。価格決定表は、販売エリア(販売組織、流通チャネル、製品部門)、伝票価格決定区分(受注伝票タイプ)、得意先価格決定区分(得意先マスタ)によって決まります。例えば、通常の販売用で使用する価格決定表と無商品の販売で使用する価格決定表は異なるものとなります。
条件タイプ:価格決定表に割り当てられており、条件タイプでどのような価格かを定義します。例えば、標準価格、値引き、配送費用、消費税用の条件タイプがあります。
検索順序:条件タイプに割り当てられます。検索順序では、価格を決定するための項目キーの組み合わせと
その順番を定義します。価格決定では、検索順序の一番上からマッチするレコードがあるかを読んでいきます。SAPが定義した項目で要件を満たせればいいですが、満たせない場合は、項目カタログにアドオン項目を追加していきます。
条件テーブル:検索順序で定義した組み合わせごとに条件テーブルを作成する必要があります。標準でもたくさんの条件テーブルが用意されていますが、標準で要件を満たすものが存在しない場合は、追加テーブルとして作成します。
◆販売価格決定イメージ
具体的なイメージは下記の図となります。例えば、パソコンをネット販売する際の価格決定を考えてみます。価格決定表には標準単価と値引きの2つの条件タイプがあります(消費税は省略)。それぞれの条件タイプには、検索順序があり、ここで標準単価用には、①「得意先、品目コード」②「品目コード」、値引用には「流通チャネル、品目コード」を価格決定のキーとして定義します。
検索順序を元に条件テーブルがあり、ユーザとしてはT-Code:VK11により条件マスタを登録しておきます。そして、受注伝票で登録した項目の値とマッチした条件マスタの金額を受注伝票の価格として提案します。標準単価の条件タイプZ001に対しては、得意先:BBB、品目:パソコン1が条件テーブルZ001のレコードと合致するので33,000円、そして、値引の条件タイプZ002に対しては、流通チャネル:ネット販売、品目:パソコン1が条件テーブルZ003のレコードと合致するので2%値引が提案されます。結果として、販売価格は32,340円となります。
(より詳細には、条件テーブルから価格テーブルを読んで実際の価格が導かれます)
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◆販売価格カスタマイズ
販売価格関連のカスタマイズ画面を見ていきたいと思います。カスタマイズ箇所はTr-CD:SRPOを叩き、
販売管理 -> 基本機能 -> 価格設定 -> 価格設定管理とたどったところにあります。

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以下はSAP標準が提供しているPR00の条件タイプです。ほとんどのPJでは、このPR00をコピーしてZ001などの標準価格用の条件タイプを作成していきます。
◆条件タイプPR00

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値引き用の条件タイプもSAP標準のものが提供されており、定額で値引くRB00と割合で値引くRA00があります。
◆条件タイプRB00

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◆条件タイプRA00

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◆検索順序
対象の条件タイプをどのキー組み合わせで読んでいくかを検索順序で設定します。条件タイプ「PR00」を例に見ていきます。検索順序の一覧があるので、対象のPR00を選択して、左メニューの検索をダブルクリックします。

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PR00の検索順序が表示されます。PR00では、最初に「得意先、品目」のキーで価格検索し、もしなければ、「価格グループ、通貨、品目」のキーで価格検索します(以下、検索にヒットしなければ、続いていきます)。検索順序10では、得意先ごとの特価を設定していて、検索順序40では、品目コードだけの定価を設定するイメージでしょうか。

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さらに、検索順序を選択した状態で左メニューの項目をダブルクリックすると、検索キー項目の一覧が見れます。検索順序PR00の検索順番10では、以下の検索キー項目となります。

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◆条件テーブル
条件テーブルを見ていきます。条件テーブルとは、価格のキー項目から構成されているテーブルであり、Tr-CD:VK11で登録した条件レコードはこの条件テーブルにデータとして格納されることとなります。

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先程の検索順序の検索順番10「得意先、品目」では、条件テーブル005が使用されていました。005テーブルを選択してエンターキーを押すと、テーブル構成を確認することができます。

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005テーブルは、販売組織、流通チャネル、得意先、品目の項目から構成されていることが分かります。このテーブルはSAPがもともと提供していたテーブルとなりますが、もしこれらのテーブルで要件を満たすことができない場合は、要件にマッチした検索項目から構成される条件テーブルを新規で作成することが可能です。実際のプロジェクトでも標準の条件テーブルだけで要件を満たせることは少ないと思います。

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◆価格決定表
価格決定表では、販売組織・流通チャネル・製品部門・伝票価格決定区分・得意価格先決定区分により、どの価格決定表を割当てるかを設定します。販売の組織情報、伝票の種類、得意先の種類により使用する価格決定表が異なる場合は、それに従い、適切な価格決定表を割当てるようにします。製品販売、無賞品販売、サービス販売などにより価格決定表を分けるのが一般的だと思います。

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価格決定表「RVAA01」は標準の価格決定表でこれまで見てきた標準の条件タイプ「PR00」などが設定されています。価格決定表を選択して左メニューの制御データをダブルクリックすると、価格決定表の中身を確認できます。

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価格決定表「RVAA01」で使用している条件タイプを確認することができます。上で見てきた標準価格PR00の条件タイプも設定されています。下の方にあるK00X系は値引きをするための条件タイプとなります。

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