Friday is awesome

SAPについて個人的なメモをまとめたブログです

MENU

なぜ企業はSAPアドオンを作り続けるのか?(クライアント企業目線)

依然、アドオンは多い
クライアント企業に SAP システムを導入する際は「要件定義(業務プロセス定義、業務要件定義)」、「アドオン設計・開発・テスト」、「データ移行」、「トレーニング」、「本番切り替え」などの工程を踏んでいくのが一般的かと思いますが、その中でも費やす期間、費用ともに多いのがアドオン設計・開発・テストではないでしょうか。要件定義というのもアドオンに関連することが多いと思います。
SAP システムはERP なので特にアドオン開発しなくてもそれ単体で最低限の業務オペレーションすることはできますが、現実的には SAP 標準機能だけではとても業務が回らずアドオン機能は必要です。

実装したアドオンは本当に必要なものか?
レポート、帳票、入力チェック、一括処理、インターフェースなどユーザーからの要求があれば、確かに必要だなと導入時点では納得するものの、導入後その後の機能がどれくらい費用対効果に見合っていたかを評価することはあまり多くない印象です。作ってしまったものについて過去は振り返らない、みたいな。眠っているアドオンはないですかね。

アドオン開発にはIT企業側のメリットがある
アドオン開発を全てなくすことはできないでしょうが、アドオン開発が減らない一つの大きな要因にはやはり開発側企業のメリットが大きいように思う。SAP のアドオン開発は自社で開発するケースは稀でベンダー側に委託して開発するケースがほとんど。
コンサルティング会社であったり SIer と言われるシステム開発会社であったりで、前者はアクセンチュアPwCアビームコンサルティングなどの IT コンサルティング企業。後者は NEC富士通、SCSK など。
もちろん明確な線引きは難しいけどアドオン開発が必要なのはどちらかっていうと言うとSIer側かと思うこともありましたが、ITコンサルティング会社であってもやはり設計開発要員が多くいて、コンサルタントといっても実質的には所謂システムエンジニア的な仕事をしています。
こうしたシステム側の企業にとってはアドオン開発は非常に大きな受注金額等の機会になりますよね。SAP の技術者は単価も高いですし。コンサル会社としては建前としてはクライアント企業のコスト削減する必要があるので、不要なアドオンを減らしましょうという提案をしますが、一方でアドオン開発のメリットも享受しているので、この矛盾をうまい具合に整理しておいしい蜜を吸い続けるのです。

うまい話はない
システム業界が潤うというのはありますが、クライアント企業側が不要なITコストを出し続ければグローバルで見た場合の競争力はなくなっていき、本当に重要な IT 戦略を実行することができなくなります。そして、いずれ IT 企業側にもしっぺ返しとして戻ってくるのだと思います。

どうすればいいのか?
では、この IT 企業側のメリットによる力学を崩すにはクライアント企業はどうすればいいかを考えてみます。結論を言うと、部分的にでも自社開発をすることです。大手企業の SAP 導入をすべて自社で開発することはできないでしょうが、少なくとも一定割合(2割でも3割でも)自社で開発できる要員を抱えておくのがいいと思います。メリットとしては以下2点あります。
 ①クライアント企業側の開発要因としては特段アドオン開発件数が増えたとしても自分の給料が上がるわけではない。一定の仕事があればそれで満足できる。そのため、アドオンを増やすということがメリットにはならない。
 ②クライアント企業にもアドオン開発の知識が蓄積されていき、 IT 企業側が提案したアドオンについても「NO」ということができるようになる。

SAP 導入段階で IT 企業への依存度が高すぎると、アドオン機能の詳細はIT 企業側だけが把握していて、クライアント企業にとってはブラックボックス化していき、そのような状態だと新たなアドオンの要否判定が難しく、結局ベンダー側に委ねてしまうことになります。そうならないためにも、クライアント企業にとって本業ではないものの専門性を持ったIT人材を雇っておくことは必要だなと思った次第です