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SAPについて個人的なメモをまとめたブログです

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SAP SD業務プロセス 預託品販売

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キーワード
預託在庫処理、預託品販売、特殊在庫
預託品販売とは?
預託品とは、一度、自社倉庫から得意先倉庫に製品を移動し、得意先倉庫で保管されることになるのですが、
その在庫の所有権自体は自社にある製品のことです。得意先は、これらの製品を倉庫から出荷しない限り、その製品に対する支払い義務はありません。もし得意先側で、その製品がもう必要ないと判断した場合は、その預託品を返品することができます。つまり、得意先としては在庫リスクを負うことなく、必要に応じて顧客へ商品をリアルタイムに届けることができるわけです。
私が当時のチームリーダーから預託品販売のプロセスを説明されたときは「富山の薬売り」を例に説明して頂きました。ちなみに、そのリーダーは中国人でまさか中国の方から富山の薬売りで説明されるとは思っていませんでした^^;
【参考】富山の薬売り→富山の家庭薬行商人。また、その行商のこと。江戸中期に始まるといわれ、藩の保護・統制を受けて発展した。全国各地の得意先に薬を置き、年に一、二度訪問して使用分の代価を清算し薬を補充した。

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SAPの預託品販売プロセス
SAPの預託品販売では、自社から得意先倉庫に出荷する伝票(預託品引渡)と得意先倉庫から顧客へ出荷する伝票(預託品出庫)の2種類の伝票を使用します。
預託品引渡:受注伝票タイプ「CF」
預託品出庫:受注伝票タイプ「CI」
ポイントは以下となります。

  • 得意先倉庫に保管される在庫は得意先在庫(特殊在庫タイプW)となり、自社資産のまま。
  • また、得意先に紐づく在庫のため、SAPシステム上、他の得意先の受注からこの在庫を出荷したり、在庫移動することはできない。
  • 預託品引渡の受注伝票については、出庫確認で完了となり、請求伝票は発生しない。
  • 預託品出庫の受注伝票で出庫確認した時点で在庫の所有権は自社から離れる。

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以上、簡単ですが、SAP標準機能の預託品プロセスの説明でした。標準の預託品機能を使うデメリットとしては、SAPのオペレーション負荷が高まることが挙げられます(得意先在庫からの出庫に対しても一から受注伝票を登録すること)。そのため、必ず標準機能の預託品機能を利用するのではなく、代替案や運用でカバーすることも検討していく必要があります。